現代人は糖質過多!?
パスタ

■「鉄たんぱく質不足」が深刻

「パンやめん類、お菓子など炭水化物の食べ物は美味しいし好物だ」という反面「魚や肉は苦手だ」「脂っこいものは胃にもたれるし太るからいやだ」という方が女性の方に多く見られます。

一方、「身体も動かすようにして、野菜を中心に、油っこいものを控えめにしてバランスよく食事をしています」という主婦の方もいらっしゃいます。

しかし、どちらの方も、「血液検査」をしてみると、貧血がないのに「鉄不足」と判定される方が大半なのです。
また、すべての検査結果の数値が「基準値内」に入っていても安心できません。
いくつかの数値を詳しく見てみると「たんぱく質不足」や鉄以外の「ビタミン・ミネラル不足」が疑われる方も多くの方に見つかるのです。

「栄養」というのは「カロリー」ではありません。
「たんぱく質」「脂質」「ミネラル」「ビタミン」のことです。
これらは私たちの体を作る大切な要素であるだけでなく、代謝に欠かせない酵素やホルモンの原料になるものです。

「糖質(炭水化物)」はどちらかと言えば「エネルギー源」でしかありません。
「必須アミノ酸」や「必須脂肪酸」という言葉はありますが、「必須糖質」という言葉はありません。
「糖質」がなくても「脂質」や「たんぱく質」は「エネルギー源」にもなることが出来るからです。
つまり、最初にとりあげたような食生活をしている方は「栄養」が十分摂れていない可能性があるのです。


■フェリチンとは!?

特に「鉄不足」は深刻です。
貯蔵鉄(鉄の貯金)は「フェリチン」を測定すればわかります。
しかし、貧血がなければ、ほとんど普段の血液検査で調べることはありません。
日本人女性の閉経前の基準値は「4~90」くらいになっていますが、栄養学的に見た正常値は15歳~30歳までは50以上、30歳~閉経までは80以上、閉経後や男性の場合は100以上とされています。

実際、当院でも閉経前の患者さんの「フェリチン」を測定してみますと90%近くが50未満で、明らかな「鉄不足」なのです。
貧血がない場合でも80%の方が「鉄不足」です。
また50%が30以下の「深刻な鉄不足」の状態になっており、10以下の方もちらほら見かけます。

女性にとっては、月経や妊娠出産で大量の鉄が失われること、さらには無理なダイエットなどが「鉄不足」の大きな原因になります。
ただ、日本人には、欧米諸国のように肉をたくさん食べる習慣がないこと、鉄を添加したシリアルや小麦粉、また加工食品に鉄を添加すると言った政策がなされていないことも「鉄不足」の要因になっています。
一方、「たんぱく質不足」は主に「尿素窒素」と「アルブミン」の数値で判定します。
栄養学的に見た正常値は「尿素窒素が15~20」「アルブミンは4.5以上」です。
閉経前は尿素窒素の数値で、また、閉経後はアルブミンの数値を重視して判定しますが、他の検査項目の数値も含めて総合的に判断します。
閉経前の患者さんの「尿素窒素」を測定してみますと、15未満が大半で、特に「深刻なたんぱく質不足」と判定される10以下の方も20%近く見られるのです。

「たんぱく質不足」の原因はやはり「炭水化物に偏った食事」です。
バランスが良いと信じている食事をされている方でも同じです。
「野菜をたくさん食べると健康に良い」「動物性食品や油っこいものは健康に悪い」という「分子栄養学では間違っていること」が依然として「世間の常識」や「医者の常識」になっているからでしょう。
「野菜」や「果物」も「炭水化物」です。
若い人では手軽に食べられるコンビニ食やジャンクフード、さらにはインスタント食品で簡単に食事をすませる方が多く見られます。
また、スタイルを気にして太りたくないため、間違ったダイエットをして、かえって必要な「栄養」が摂れていないのです。
したがって、鉄以外のミネラルやビタミンも不足しがちになります。
特に「精白された炭水化物」(精白小麦粉・砂糖・白米など)や「アルコール」の摂取過多はビタミンB1を大量に消費しますので、さらなる「ビタミンB1不足」を招きます。

■「鉄たんぱく質不足」を放置するとどうなる?

ステーキ

このように日本人女性の大半が血液検査の結果を詳しく見てみると「鉄不足」であり、「たんぱく質不足」「ビタミン・ミネラル不足」におちいっていることがわかります。
これらは、「細胞を作る原料」が不足して「リサイクル品を原料とした細胞」増えてくるために、細胞が脆弱になり、病気になりやすいという問題があります。
また、代謝に必要な「酵素・補酵素・ホルモン」の不足から、「エネルギー代謝障害」が起こり「乳酸」がたまりやすくなることや、 細胞のミトコンドリア内での「ATP(アデノシン三リン酸=エネルギーの通貨)産生不足」という問題を引き起こします。
「機能的な病気」のほとんどは「乳酸の蓄積」や「ATP不足」が原因と考えていいでしょう。
「器質的な病気」もこれらが原因で発症するのかもしれません。

「炭水化物に偏った食事」には別の問題を引き起こします。
「糖質」は胃や腸で消化され「ブドウ糖」になります。
さらに、「糖質過多」の食生活が長く続くと、すい臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなり(インスリン抵抗性という)血糖値が上昇しやすくなります。
そうなると、すい臓からはさらに追加インスリンが分泌されるのです。
「ブドウ糖スパイク(食後高血糖)」や「高インスリン血症」という状態です。
今やこれがあらゆる病気の原因であり、「かん」の促進因子として注目されています。
これらは、金属が空気に触れて錆びるように、細胞の「酸化」や「糖化」を引き起こし「老化」を早めます。
また、食事や間食、糖質を含んだ飲み物を頻繁に摂取することで「血糖変動幅の拡大」を繰り返し、これが、自律神経やホルモンのバランスを乱す原因にもなるのです。
普段の体調不調や、今ある症状や病気が「鉄たんぱく質不足」が原因でないかを、一度疑ってみる必要があります。
「感染症」や「外傷」を除いた「慢性疾患」の背景に「鉄たんぱく質不足」や「ブドウ糖スパイク」「高インスリン血症」が隠れている可能性が大きいのです。
診断はいつもの血液検査に数項目加えるだけでわかります。
すべての検査数値が「基準値内」であったとしても「正常値」ではありませんし「健康」とも言えません。
「栄養学的に見た正常値」を物差しにすることで、今まで見えなかった「体の異常」が見えてくるのです。


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